美容師は40代が岐路となる
美容業界では美容師として働ける年齢は40代が限界だと言われています。
全員が40代で美容師を辞めるわけではないけど、正直その気持ちも分かる…
なぜ美容師は40代が岐路になるのでしょうか。
理由としては以下の4つになります。
- 収入の低さ
- 健康への意識
- 家族との時間
- 世代による価値観の違い
では順番に見ていきましょう。
収入の低さ
もともと美容業界での平均給与は他業種と比べてかなり低いものとなっています。
40代では家のローンや子供の教育費にもかなりの額が必要となりますが、月の手取りが20万円程となると厳しい生活になるのは簡単に想像できます。
2018年度の国土交通省の調査によると、平均返済額は8.7万円~10.9万円で平均返済期間は約30年。
額面年収の20%前後をローン返済に充てることが理想的と言われていますが、月20万円では50%になってしまいますね。
また2019年の日本政策金融公庫の発表によると、子供一人につき必要な教育費は最低1000万円。
私立の高校や大学に通わせる場合は2000万円~3000万円になります。
美容師の平均年収から捻出するにはとても厳しい金額になります。
健康が重要だと気づく
若いうちは健康であることが当たり前であり、自分がこの先も永遠に健康であると無意識に思っている人も多いです。
しかし30代を超えてくると不思議と健康を意識するようになってきます。
40代でもこのような生活を続け、大切な健康をこの先も維持できますか?
無理です。
僕は20代後半に過労とストレスによる病気で手術をしたけど、その当時はフリーランス美容師。保証も何も無く、当時の働き方に限界を感じたよ。
家族との時間
なぜ仕事をしてお金を稼ぐのか?
もちろん自分の好きな事に費やすためでもありますが、30代・40代を迎えると物欲が無くなってきます。
年を重ねるごとに、大切な人と素敵な時間を共有する事が何よりも大事なことになります。
- 子供の成長
- パートナーとの旅行
- 親孝行や介護
これらの事を美容師をしながらこなしていく余裕はありますか?
40代で現実が見えてくると離職する美容師が増えるのも納得がいきます。
ジェネレーションギャップ
厚生労働省の全国の平均年齢別美容師の統計によると40代以上の美容師の割合は20%にも及びません。
20代や30代の美容師が多い中、流行りの髪色や最新の技術・薬剤について行くのは過酷です。
スタッフ同士の会話やお客様との会話でも世代間のギャップを感じてしまう美容師も多いようです。
【年齢別】20代の美容師がやるべき事
ではここからは30代の現役美容師タナカが感じた20代でやるべきことについて紹介していきます。
20代の美容師がやるべき事は以下の4つ。
- 経験をする
- 向き・不向きを知る
- 美容以外にも触れる
- 失敗をする
たくさんの経験をする
20代の10年間は美容師として怒涛の変化を経験する期間。
シャンプーのやり方から始まり、スタイリストや店長、早い人だと独立まで行きます。
中には焦る人もいるかとは思いますが、20代で経験した様々な事が後の美容師人生に大きく関わってきます。
- 一流の技術に触れる
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最近ではオンラインでの講習も活発になってきており、第一線で活躍している美容師の一流の技術をすぐに取り入れることが可能です。
働いているサロンの技術だけでなく、視野を広げてたくさんの技術や考え方を取り入れることで自分自身のレベルアップになります。
- 自分に投資
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洋服や交際費にお金を使うのも大事です。
しかし、いつもは行かないような高級レストランや読書などにお金を費やすことも美容師として有意義な投資になります。
高級レストランでは接客やサービス、本からは先人達の貴重な知恵と考え方を学べます。
散財するのではなく、自分に投資することで必ず得られる経験はあります。
- 海外研修
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海外の美容室は日本の美容室とは良い意味でも悪い意味でも違います。
あなたの美容師としての固定概念を壊し、より美容師としての可能性を見出すことができるかと思います。
決して費用は安くありませんが、可能であればこれらの事にお金を費やし、たくさんの発見と経験をしましょう。
自分の向き不向きを知る
日本人美容師は全ての施術を一定のレベルへ持っていくことに注力しますよね。
全ての技術が大好きと言えるならそのままでOKです。
しかし少なくともあなたの好きな技術と嫌いな技術はあるはず。
嫌いな技術を克服するよりも、好きな技術を楽しく伸ばしていく方が美容師としてのやりがいを感じます。
そして何かに秀でた美容師は重宝されるという事を頭に入れておきしょう。
- カラーが好き→カラーリスト
- カットが好き→カッター
- ヘッドスパに自信あり→スパニスト
- ケミカルや商材が好き→ディーラー
30代で美容師としての方向性を決める際に、向き・不向きを自覚しているのは大きな強みになります。
美容以外にも触れる
美容師の特徴として、情熱のある仕事熱心な職人気質の人が多いと思います。
実際に僕も完璧な職人気質だし、髪色や髪形を作るのが大好きだよ!
しかし常に美容の事を考えていても美容師としてレベルアップすることは出来ません。
- 彼氏・彼女の何気ない一言で気付ける思いやり
- マンガやアニメから発見するヘアスタイル
- 他業種の人との交流で気付ける礼儀やマナー
- スポーツから見えてくるチームワークの重要性
- 旅行で気付く田舎の良さ
僕が20代前半の時は
- いかに同期よりも早くデビューできるか
- 歴代の初月売り上げを必ず超える
- 完璧なカットラインを作る
このような事しか考えていませんでした。
しかし30代の今、思うことは全く違います。
- デビューする早さよりもデビューするまでの質
- 数字ではなくお客様との関係性
- 完璧なカットラインよりもお客様が維持しやすいカットバランス
20代後半で海外に渡り、たくさんの美容以外の事に触れたおかげで過去の美容一筋の自分がいかに浅はかだったかを痛感してるよ。
たくさんの失敗をする
挫折や失敗は20代のうちに出来るだけしておきましょう。
失敗することが事前に予測できていたとしても、挑戦することが大事です。
- 何がダメだったのか
- 結果を踏まえてどう改善するのか
- 失敗を繰り返さないために次に準備すべきことは何か
上記の3つを常に考えながら経験を積めると尚良しです。
20代での失敗や挫折は必ずやり直しが効きます。
しかし30代・40代での失敗は置かれた状況や家族の存在によってやり直せない場合もあるという事。
自由が利くうちに、失敗と挫折はするべきです。
多ければ多いほどいいんです。
挫折を経験した美容師は強い!
【年齢別】30代の美容師がやるべき事
では次に30代の美容師がやるべき事を見ていきます。
30代の美容師がやるべきことは以下の3つ。
- 自分のキャリア選択
- お金について考える
- 新しいことに挑戦し続ける
では順番に見ていきます。
自分のキャリアを選択する
あなたの向き・不向きを踏まえた上で今後のキャリアを考えましょう。
- どのような美容師人生を送りたいのか
- どのようなお客様を担当したいのか
- どのような場所で働きたいのか
一生従業員として生きていくのか、経営者として店を運営していくのか。
詳細を決める必要はありません。
ざっくりと上記の3つに答えられるのであれば、そこから自分の選ぶべき将来は見えてきます。
- 収入を増やしたい→フリーランス
- 家族との時間を増やしたい→福利厚生の整ったチェーン店
- 有名になりたい→有名店やSNS運用に力を入れる
僕は収入を増やして家族との時間も増やしたかったから海外という選択をしたよ!
お金について考える
30代の美容師は美容に対する情熱だけでなく、リアルな現状についても考えましょう。
- このまま美容師として働いていくことで得られる収入はいくらか
- 今後10年で必要になってくるお金はいくらか
- 老後の資金は理想の生活をするにはいくら必要か
20代のように散財し続けていたら今後の生活が続きません。
そして30代は人生の中でも大きいイベントが多くやってくる10年間。
- 結婚
- 出産・育児
- 車や家の購入
このイベントをこなしつつ、将来に対するリスク分散として投資を勉強し始めるのも有効です。
情報弱者はお金を吸い取られちゃうよー
新しい事に挑戦し続ける
現状維持で毎日の生活を続けている事以上にもったいない事はありません。
美容師として30代を迎えると、技術はある程度自分で確立されて安定してきます。
しかしお客様や周りの若い美容師は常に最新の技術を模索しています。
- アニメのような髪形にするためには
- 白人さんのような髪色にするためには
- ほとんど維持する必要のない髪色にするためには
時代の流れについて行くためにも新しい事を始めてみる。
最初は難しく、うまくいかなかったりしますが、続けていくことによって自分の武器になっていたりします。
30代で遅い事はありません。
年齢別に見る美容師のキャリア選択
各年齢別に美容師が考えられるキャリア選択を紹介していきます。
20代美容師のキャリアアップ
前述したように、20代美容師はたくさんの事に触れて多くの経験を得た方が良いですよね。
アシスタントを卒業するまでは1つのサロンで頑張った方がいいのですが、スタイリストにさえなれば可能性はグッと広がります。
- フリーランス・業務委託
- 役職を目指す
フリーランスや業務委託美容室で働くことによって、今までのお店では分からなかった売り上げに対する給料について知ることができます。
そして一人で売り上げを上げることに対する難しさも知ることができますね。
またトップスタイリストや店長・マネージャーを目指すにあたって技術や集客力の向上も期待できます。
収入も大事だけど、あくまでも経験を得ることに重点を置くと将来の選択肢が大きく広がるよ!
30代美容師のキャリアアップ
30代の美容師はこれまでに培った経験や知識、技術を自分の将来に利用しましょう。
- フリーランス
- 独立
- 海外
引き続きフリーランスとして働くことも収入の面では大きなメリットになります。
しかし大きな収入と安定した収入は違います。
- 怪我・病気をした
- 子供との時間を大切にしたい
- 長期休暇が欲しい
このような状況になった場合にフリーランスには保証が無く、働き続けるしか選択肢がありません。
しかし独立してスタッフを雇えば上記の問題は多少解決できるでしょう。
独立の際のリスクを考えたら簡単にできるものでもないよね。
30代の美容師にこそオススメしたいのが海外で働くという事。
- 平均年収は日本より上
- 拘束時間の少なさ
- 安定した福利厚生
これら3つは当然ですが、日本人美容師としての需要はかなり高いのでビジネスチャンスも多いのが現実。
40代以降の美容師の選択肢
40代以降の美容師は現場に少なく、多くは離職しているか経営側に回っていることが予想されます。
40代の現役美容師が考えられる選択肢は以下の2つです。
- 異業種に転職
- 雇われ美容師
厳しいですが、美容師として生きていくのであれば会社に所属するのが賢明かと思われます。
- チェーン店
- 千円カット
- 地域密着店
このような形態の美容室では常に人材不足なので年齢やスキルは重要ではありません。
僕の知り合いでは独立に失敗して2年間マグロ漁船に乗っていた人がいます。今は千円カットで安定した給料と守られた拘束時間に満足して働いてるよ!
家族を養っていくためには千円カットやチェーン店も十分に恵まれた環境だと思います。