一般的にバレイヤージュという技術に明確な決まりはありませんが、僕の場合は以下のように考えています。
適度なコントラストを出しつつ、根元から毛先にかけて色の境界線をボカす。
ダメージを抑え、退色後もデザインとして成り立つ。
この2つを絶対としてバレイヤージュを作っています。
このバレイヤージュ解体新書では知識0からでも上記のスタイルが作れるように解説していきます。
バレイヤージュは全て上記のセクションを基本に
- コントラストの比率
- ボカシ加減
をコントロールし、デザインを作っていきます。
各パネル内のデザインが積み重なり、バレイヤージュとして成り立っていることを前提にしておきましょう。
バレイヤージュのやり方:バレイヤージュとは
まずはバレイヤージュを作る上で最も大切なコントラストとボケ加減について解説していきます。
コントラストやボケをオンカラーで作っていく事も可能ですが、バレイヤージュはブリーチワークが全てです。
ブリーチの段階で綺麗なベースを作れれば、オンカラーを楽にすることができるよ!
バレイヤージュ=コントラスト×ボケ加減です。
ここではバレイヤージュのやり方を紹介する前に、抑えておきたい基本を紹介します。
大事な事は以下の5つ。
- コントラスト
- ボケ加減
- コントラストとボケ加減の作り方
- 起点の考え方
- バレイヤージュにおけるカラーバランス
では順番に見ていきます。
コントラスト
コントラストとは明度や彩度によって髪に立体感を出すこと。
暗い部分が多いほどコントラストが大きくなり、少ないほどコントラストが少なくなります。
バレイヤージュで狙ったコントラストを出すために意識することは、暗い部分と明るい部分の比率です。
どのように明るい髪をデザインしていくか?ではなく、暗い髪をどこにどのくらい残すのか?
といった具合に考えましょう。
全てのパネルで根本を中心に暗い部分を30%程度残すと、全体的に明るいグラデーションデザインになります。
一方で根本を中心に暗い部分を50%程度残すと全体的に落ち着いた印象になります。
希望のスタイルから暗い部分をどのくらい残す、または作ればいいのかを考えられるようにしよう!
ボケ加減
ボケ加減とは暗い部分と明るい部分の境界線(ディバイディングライン)を馴染ませるということ。
ボケ加減を考えずブリーチを塗布してしまうと、上記のようにブツッとしたラインが出ますよね。
オンカラーでこのディバイディングラインを消せたとしても、色の褪色と共に再び出てきます。
バレイヤージュの決まりである褪色後も綺麗なデザインが成り立たないため、ブリーチでデザインを入れる時点でこのディバイディングラインは必ず意識しましょう。
ブリーチが終わった時点では、以下のように根本から毛先まで綺麗なグラデーションになっていることが理想です。
ブリーチデザインでボカすことができればオンカラーも楽になって、褪色後も綺麗なデザインを保つことができるんだ!
コントラストの比率とボカシを組み合わせることによって様々なデザインのバレイヤージュを作ることが可能です。
コントラストとボケの作り方
バレイヤージュの構成要素であるコントラストとボケ加減を作るには、暗い個所と明るい個所の比率を理解しておき
ましょう。
この比率を頭に入れておくことでコントラストと同時にボケ加減をコントロールすることができます。
暗い個所を多く設定すればするほど、ボケ加減とコントラストは自然に
明るい部分が多いほどディバイディングラインが出やすく、コントラストが強く
比率に基づいてコントラストとボケ加減を同時に作っていくには
- エアタッチ
- バックコーミング
という技法を使ってアプローチしていきます。
それぞれの詳細は後で説明するね!
どちらの技法も下記のようにパネルの中で明るい部分と暗い部分を分けるために使用します。
暗い部分が明るい部分に戻ることによってボケ加減を作り出します。
起点の考え方
起点とはブリーチを塗布し始める位置です。
起点を意識してデザインを入れていくことによって、その後のオンカラーや3ヶ月後のカラーリングでも自分の困らない履歴が作れます。
コントラストを作る際に起点をずらしてアプローチするという方法もありますが、オンカラーの難易度が上がってしまうのでオススメはできません。
以上のように起点を根元付近で一定にすることで、オンカラーでのディバイディングラインを馴染ませる工程が楽になります。
しかし起点をランダムに設定してしまうと、ディバイディングラインがバラバラになってしまうのでオンカラーの際に1
パネルずつ塗布することになってしまいます。
バレイヤージュを難しくしないためにも、起点は常に同じ位置を心がけようね!
カラーバランス
バレイヤージュは全頭2色で抑えるのが綺麗に見えやすく、バランスもいいです。
地毛とブリーチ毛の2色で仕上げるのが理想的であり、この場合は褪色しても2色のままであり続けます。
しかし仕上がりで3色以上になってしまうと、それだけでムラに見え、褪色後も綺麗に維持することは不可能です。
褪色後のことを考えて、全頭2色で仕上げるように意識しよう!
バレイヤージュのやり方:施術の流れ
ここからは具体的なバレイヤージュのやり方をカウンセリングから仕上げまでをまとめます。
バレイヤージュの流れは以下の7つから成り立ちます。
- カウンセリング
- ブリーチ塗布
- 追いブリーチ
- ブリーチ流し
- オンカラー
- カラー流し
- 仕上げ
どの工程も仕上がりやお客様の満足度に大きく関わってくるので、細かい所までこだわりましょう。
カウンセリング
カウンセリングに力を入れる必要性には下記の理由があります。
- 好みを探る
- 将来的なデザインや理想を探る
- 最低限越えなければいけないラインを探る
好みを見極める
お客様が何を一番に考えているのかを聞き出します。
- 明度
- 彩度
- 維持のしやすさ
- 料金
- ブリーチデザイン
これら5つの中でお客様が何を重要視しているのかによって施術の難易度は変わります。
その際に、1回では理想のスタイルを作れないと判断した場合は必ず代替案や妥協案を提示しましょう。
具体的には下記のような提案方法が有効です。
今回はブリーチ履歴のムラを治してグラデーションぽく仕上げましょう!ベースが治ったところでもう一段階明るくしつつ、コントラストを作りましょう!
1回で明るくするには限度があるので、シルバー系にはしますが明るさが少し暗くなります。でも2回目には同じデザインで高明度のシルバー系に持っていきましょうね!
バレイヤージュの値段は少しかかりますが、半年~1年に一回のメンテナンスで済むので、長期的に考えるとお得だと思いますよ!
将来的なデザインや理想を探る
バレイヤージュは1回でお客様の理想に仕上げるのが難しい技術でもあります。
バージン毛から高明度にしたいと言うお客様にはしっかりと説明しましょう。
長期的なプランを提案することで施術のハードルを下げることができます。
バレイヤージュのやり方をシンプルにすることで、将来的にも同じデザインで明るくすることが可能です。
最低限越えなければいけないラインを探る
お客様の好みは下記のようなパターンがあります。
- 明るくなればいい
- 色ムラや明るさ、全部を治して完璧な色味にしたい
前者の場合だと明るくなれば最低限のラインを超えることはできます。
さらにお客様の予想していなかった
- 色味の綺麗
- 透明感
- デザインの統一感
を仕上がりで見せることができれば必ずあなたのファンになります。
しかし難しいのが後者の場合。
この場合はハードルを最初に下げておくことで、仕上がりの付加価値を与えることができます。
現在のブリーチムラが酷いので、正直全体の色味を揃えるのは難しいかもしれないですね…
バージン毛で、高明度は難しいので中明度のアッシュ系を目指しましょう!
ダメージが酷いので切れるかもしれません…
このようにハードルを下げておきます。
しかし実際には
- ブリーチムラを治すだけなら余程でない限り可能です。
- バージン毛でも施術工程を少し変えることで高明度は可能です。(髪質にもよります)
- ブリーチで髪が切れることは、技術と知識があればまずあり得ません
これでお客様の最低ラインを超えられるね!
施術の選定
髪のダメージやブリーチ履歴は必ず聞くようにしましょう。
- 最後にカラーをしたのはいつ?自分で?サロンで?
- 今までブリーチや縮毛矯正はやっているか?
- どの位の頻度で美容室に行くのか、カラーをするのか、シャンプーをするのか?
- ブリーチの色持ちはよくないけど、その後の明るい髪色は平気か?
上記の4つは必ず聞くようにし、現在の履歴とお客様の求めるスタイルを比べてどのようにアプローチしていけばいいのかを考えます。
下記の画像で代表的なカラー履歴を見ていこう!
起こりえるケースと対策については下記で解説しています。
左の2つに関しては地毛が十分に育っているためにブリーチ選定と比率を意識すれば綺麗なデザインに持っていくことは可能です。
しかし、地毛が十分に育っていない右の履歴は失敗しやすいのでアプローチに気をつけましょう。
バレイヤージュは地毛を活かそう
最後のカラーが半年前の人だと地毛が十分に伸びているため、地毛をコントラストとして活かすことができます。
地毛は褪色しないために、ブリーチで明るい髪の毛を作りさえすれば将来的にも2色の綺麗なカラーバランスを維持することが可能です。
もしカラー履歴がある場合には、エアタッチで落とした髪を暗くすることで、対処できます。
しかし地毛が伸びきっていないとコントラストを作っても地毛に繋げることが出来ず、根本の明るさを消しきれません。
この場合はオンカラーで暗めの薬剤を使うことで対処できますが、色落ちとともに根本の明るさは出てきます。
時間はかかりますが、バレイヤージュの前に4~5レベルのカラー剤で根本~中間を暗くしてからブリーチ塗布がベストな選択肢です。
バレイヤージュのやり方:ブリーチ選定
バレイヤージュでのブリーチは基本的に2回塗ること(追いブリーチ)を前提とします。
ファーストブリーチ
1回目のブリーチではムラなく均一に明度を上げることに集中します。
その際に強い薬剤を使うと液だれや、膨潤の原因になってしまい、過度のダメージとムラの原因になってしまいます。
セカンドブリーチ
追いブリーチの役割としては塗布時間の差による明度差を直すこととムラのチェック、明度を押し上げることの3つです。
塗り始めと終わりのパネルに明度の違いが出るので、塗り終わったパネルから塗り始めのパネルに戻ります。
適切なブリーチ選定をすることで髪の毛は2時間のブリーチにも耐え、溶けることなく艶のある質感を保つことができます。
ここからは2液の違いとブリーチトリートメントについて解説するよ!
2液の違い
結論から言うと6%でも3%でも明るさに視認できるほどの違いはなく、最終的にほぼ同じ明るさになります。
バージン毛の毛束に対し、各薬剤を1時間ホイルで放置。
上記の画像でも分かるように、2剤を変えることで明るさに大きな違いはでません。
変わるのは発色のスピードです。
例えるなら下記のようなイメージ。
30分で18レベルに押し上げる→6%
120分で18レベルに押し上げる→3%
発色スピードが速いことで、ダメージ過多や塗りムラの原因になるのでバレイヤージュでは基本的に強い薬剤は使いませ
ん。
メインになるブリーチは下記の通り。
- 6% 3倍
- 4,5% 2倍
- 3% 2倍
ではそれぞれの使い方を見ていきます。
6%3倍
6%3倍は地毛に対して使っていきます。
なぜ2倍ではなく3倍なのか。
理由は下記の通りです。
- 薬剤の粘度を緩くすることで塗りムラのリスクを抑えられる
- 時間の経過によって起こる薬剤の膨潤を抑えられる
- ブリーチの使用量を抑えられる
ブリーチ1.5倍や2倍は粘度が高すぎるためにパネルに浸透しずらく、明度にムラが出来やすくなります。
ブリーチを1.5倍~2倍で長時間髪に塗布し続けると液だれ→ダメージ過多といった具合にも。
またブリーチが膨潤してしまい、効力が無くなってしまいます。
4.5%2倍
4.5%2倍は主に追いブリーチで使用します。
ファーストブリーチで極力塗布ムラをなくしたパネルを、さらに明るくするためには6%では強すぎます。
OX濃度の低い薬剤でゆっくりと明度を上げていこう!
3%2倍
3%2倍はファーストブリーチでの中間~毛先に使用します。
すでにダメージ軽度のブリーチ履歴が毛先にある場合、根本~中間は6%3倍で、中間~毛先は3%2倍または3倍で同時に塗布していきます。
しかしこの倍率は地毛に対しては脱染力が足りないので、毛先を0.5トーン~1トーン上げたい時に使うのが向いています。
ブリーチトリートメント
ブリーチトリートメントはブリーチ選定において極めて重要ですが、正しいタイミングで使う場所を見極めないと明度を上げ切ることができません。
2種類のブリーチトリートメント
ブリーチトリートメントは大きく分けてジマレイン酸とジカルボン酸(マレイン酸)に分けられます。
どちらのトリートメントも酸性なので強アルカリであるブリーチに混ぜるとリフト力がどうしても落ちてしまいます。
オラプレックスはジマレイン酸、ファイバープレックスはジカルボン酸だよ!
違いは以下の通り。
同じ時間放置しても、最終的な明度は視認できるほどの違いがあります。
- カラー履歴の無い髪にはトリートメントは必要なく、OXコントロールでダメージを考慮。
- ブリーチ履歴のある箇所に対してはトリートメントを配合し、ダメージを考慮。
というのが個人的には考えやすいと思います。
バレイヤージュのやり方:ベース作り
ブリーチ選定が終わったらどの技法を使ってバレイヤージュのベースを作るかを考えましょう。
バレイヤージュのやり方は以下の3つに分けられます。
- エアタッチ
- バックコーミング
- スライシング・ハイライト
では順番に見ていきましょう。
エアタッチ
エアタッチはドライヤーを使用し、パネル内の髪の毛を落としてボカす技法です。
エアタッチのメリットは以下の4つ。
- 最大限ボカすことができる
- ブリーチ塗布と同時にコントラストも作れる
- 剛毛、量の多い人にも素早い施術が可能
- 流す際に絡まりずらい
エアタッチの最大のメリットはボケ加減です。
ドライヤーの風力を使うことで、暗い部分と明るい部分をしっかりと分けることができ、自然なボケ具合を作れます。
ドライヤーで落ちた髪の毛を暗くしていくことでブリーチ塗布と同時にベースカラーを整えることもできるね!
これはエアタッチだからこそできる工程でもあります。
剛毛の人に対してバックコーミングでアプローチすると、うまく根本まで髪の毛を押し込めません。
しかしエアタッチの場合は風力で狙った毛束を楽に落とすことができます。
エアタッチにはデメリットも存在します。
- 時間がかかる
- カットに依存する
- スタイルチェンジでデザインが崩れる
エアタッチは髪をパネルから落としやすくするために施術前にストレートアイロンで全体を伸ばしていきます。
このため、必然的にブリーチを塗布するまでに時間がかかってしまいます。
そして一番のデメリットはスタイルチェンジやレングス変更をすることによって既存のデザインが崩れてしまうこと。
暗い個所を多く作るように7:3の比率で髪を落とすと、次回以降に同じデザインで明るくすることができない可能性があります。
エアタッチを使う場合は、5:5の比率までに抑えておくといいでしょう。
エアタッチは基本的には肩下の長さに対して使い、肩上の場合はバックコーミングがおすすめ。
エアタッチの詳しいやり方はこちらにまとめてあるのでチェックしてみてください。
バックコーミング
逆毛を立ててパネル内の髪の毛を根本に押し込みボカす技法です。
バックコーミングバレイヤージュのメリットは以下の2つ。
- 時短で素早く塗れる
- 将来的にもデザイン継続可能
エアタッチのようにストレートアイロンでの下準備を必要としないために、カウンセリング後に即施術可能です。
時間が節約できるのは大きいね!
逆毛を立てるという工程のみなので、塗り終わりまでのタイムを縮めることができるのも大きなメリットです。
エアタッチは完全にカットや毛量調節に依存しますが、バックコーミングの場合は逆毛の強弱によってある程度の融通は
効きます。
これにより、エアタッチよりもデザインの継続性はあると言えます。
バックコーミングバレイヤージュのデメリットは以下の4つ。
- ハイダメージに対しては切れ毛の原因になる
- 軟毛や毛量の少ない人向けである
- 逆毛を戻すのに時間がかかる
- ブリーチ塗布と同時進行でコントラストを作れない
根本への押し込みが弱いと、既染毛やブリーチ毛にも薬剤が付いて切れ毛の原因になります。
基本的には軟毛や毛量の少ない人向けなので、量が多い人にはスライスを薄くとるかエアタッチでアプローチしましょ
う。
エアタッチのように同時進行で暗い部分を作っていくことはできないので、押し込む毛は地毛であることがベストです。
オンカラーでもコントラストは作れるから神経質になる必要もないよ!
バックコーミングはパネル内の髪を根本に押し込むために、ブリーチ塗布と同時にコントラストを作ることができません。
5:5の比率でバックコーミングを入れ、ブリーチ塗布をすることによってオンカラー前には下記のように3色になってしまいます。
スライシング・ハイライト
スライシングはパネルを前後に引き出し、角度によってコントラストをつける技法です。
ボカす技術ではないのでバックコーミングやエアタッチとの併用が前提になります。
ハイライトは様々な使い方がありますが、表面にデザインを入れる場合やしっかりとコントラストを出したい時に使います。
スライシング・ハイライトのメリットは下記の通りです。
- パネルの角度だけでコントラストを作れる
- 必要な箇所にしっかりとしたコントラストを出せる
パネルを前方に引き出し、塗布することで髪が垂直に落ちた時にディバイディングラインにズレが生じます。
これが重なり、コントラストになります。
これに対し、デメリットは以下の2つです。
- ディバイディングラインがしっかり出る
- 履歴が複雑になりやすい
スライシングはコントラストを作る技法なのでボケ加減は作れません。
ディバイディングラインはオンカラーで馴染ませるか、バックコーミングやエアタッチと併用しよう!
ハイライトは履歴が複雑になりやすいので1回目のデザインをそのままに、もう少し明るくするということができませ
ん。
次回以降のデザインも考えて、ハイライトは数枚を必要な箇所に入れるのがオススメです。
バレイヤージュのやり方:ブリーチ塗布
カウンセリングを行い、具体的なゴールを想像できたらブリーチを塗布し始めていきましょう。
ブリーチ塗布での最重要ポイントは素早く全頭を塗り終えること。
時間が経てば経つほど最初のパネルと最後のパネルに明度差がついてしまい、まとまりのない明度と過度なダメージになってしまいます。
バレイヤージュは時間との戦い
と言っても過言ではありません。
僕が現状ベストと思える目安となるタイムは以下の通りです。
- ファーストブリーチを30分で塗布
- 15分放置し、追いブリーチを30分以内に塗布
- 最後に15~30分放置し、約2時間でブリーチ塗布は終了
実際にやってみるとかなりブリーチは時間がかかります。
あらかじめデザインやアプローチ、現状のカラー履歴を頭の中に入れておかないと時間を大幅に超えます。
考えながらブリーチ塗布をするんじゃなくて、手を早く動かすことだけに集中できるようにしておこう!
下記にデザイン別に3つの展開図を載せているので、比率やデザインなどはそちらを参考に徹底的にイメトレすることをオススメします。
ブリーチ塗布のやり方
ブリーチを塗布しているだけで全パネルをムラ無く綺麗に明るくする事は不可能です。
均等な明度にするために考えるべき事は以下の4つ。
- ボードを使う
- 硬めのハケを使う
- 事前に複数のカップを用意
- 片栗粉を使う
ボードを使うことでパネルの表面だけでなく、裏側にもしっかりとブリーチを塗布することができます。
ボードの使い方は下記の画像を参考にしてみてね!
ホイルにブリーチを先に塗布してからパネルを置きます。
量の多い根本でもしっかりとブリーチを貫通させるためにもボードはオススメです。
そして硬めのハケは毛束をほぐしながら塗布していくのに必須。
理由としては
コーミングは髪の毛を痛ませる
からです。
ブリーチを多く塗布しているだけではパネルに貫通させることができないので、硬めのハケで毛束をほぐすように塗布していきます。
縦ではなく、横にハケを動かすことで裏側にも均等にブリーチ塗布が可能です。
ブリーチ塗布で絶対にやってはいけないこと
ブリーチ塗布をする際に、絶対にやってはいけない事はパネルをクシャクシャにしてホイルで包むこと。
これをやることで、次のステップである追いブリーチの塗布が難しくなります。
またホイルを折ることによって折り目の箇所だけブリーチの上がりが悪くなるので、出来る限りホイルに折り目はつけないようにしましょう。
1枚のホイルで包むんじゃなくて、2枚使って包むと折り目のムラが無くなるよ!
塗布・放置時間
塗り始めと塗り終わりの明度差を極力無くすためにはブリーチの反応速度も考えましょう。
一般的にブリーチを含むカラー剤は、混ぜてからの20分が発色において重要です。
ブリーチは20分後も2時間後も明るくなり続けますが、薬剤の初速効率を考えると事前に2カップ用意しておくのが時間節約の点でベストです。
工程の半分で新しい薬剤に切り替えられると、初速効率を最大限に活用できるよ!
ブリーチの粘度も効率を重視するのであれば考えるべきポイントです。
通常、地毛には上述したように6%3倍を使用しますが、3倍だと水っぽくなりすぎて塗れません。
全体に均等に塗布できるのはメリットですが、時間の経過とともに塗りムラが出やすくなります。
その場合は片栗粉を入れることで粘性を出すことができ、操作性やムラの心配も抑えられます。
ハケからブリーチが滴らない程度に片栗粉を混ぜましょう。
追いブリーチ
追いブリーチはファーストブリーチでのムラ直しと明度をさらに上げる為に必須です。
ブリーチで上がりやすい箇所は上記のようになっており、頭皮に近いほど明るくなります。
髪質によっては根本周辺がファーストブリーチで既に18レベルになっている場合があります。
それ以上ブリーチを塗布をしないようにし、中間~毛先に追いブリーチを施しましょう。
追いブリーチで気をつけるべきこと
髪の毛が非常に繊細な状態になっているため、無理に引っ張ったりコーミングしないようにしましょう。
ここでもやはり硬いハケを使い、既存のブリーチを拭うようにし、現状の履歴を確認します。
ペールイエローになっている箇所にはブリーチを馴染ませる程度にし、中間から毛先の明度を根本に追いつかせるようにブリーチを再塗布していきます。
無駄なコーミングは避けて、ハケでしっかりと裏側まで貫通させるように意識しよう!
ファーストブリーチで塗り終えたパネルから逆の順番で追いブリーチをすることで、全体の明度を極力揃えることができ
ます。
ブリーチの初速効率を最大限に利用しましょう。
ブリーチ塗布と同時にコントラスト作成
エアタッチの場合のみ、追いブリーチが終わった後にコントラストとなる髪を暗くしていきます。
エアタッチで落とした髪の毛を暗くしていきますが、この時は2剤で必ず1.5%を使うようにします。
理由としては、流す際に3%だとブリーチ毛に色味が入ってしまうから。
地毛が黒の人に対しては5~6レベルを使っていくことが多いですが、5~6レベルであれば1.5%でもしっかりと暗くすることが可能です。
ブリーチの流し方
ブリーチを流す際にやるべき事は以下の3つです。
- PH調整
- 過硫酸塩除去
- 絡まりをとる
ブリーチによってアルカリに傾いた髪の毛をバッファー剤などを使って出来る限り弱酸性に持っていきましょう。
強アルカリのままカラーをしてしまうと、色の定着が悪く、流す際に予想以上に抜けてしまいます。
そして髪の毛にブリーチの原料でもある過硫酸塩(漂白成分)が残っていると、カラーがうまく発色しないためにムラの原因となります。
過硫酸塩を除去するには
ブリーチの漂白成分を除去するには、バッファー剤などの商材を使うのが一番です。
もしお店にないのであれば以下の方法で過硫酸塩を緩和することができます。
- ブリーチトリートメント
- ライトナー:3%:シャンプー=1:1:1
ブリーチトリートメントに含まれるアルギニンが作用し、過硫酸塩を除去することができます。
すぐに流すのではなく、時間を置くことで効果を高めましょう。
ライトナーを使うことでも除去はできますが、暗い部分が明るくなってしまう可能性があるので基本的には全頭ブリーチ
用です。
以上の事から、ブリーチを流す際は以下の流れが効率的です。
- シャンプー台にお湯を溜める
- ブリーチトリートメントで過硫酸塩除去
- 同時にPH調整
- 溜めたお湯の中で優しく絡まりを取る
ホイルを外してから流すと色が入っちゃう可能性があるんだ!
バレイヤージュのやり方:オンカラー
ここからはバレイヤージュのオンカラーについて解説していきますね。
オンカラーで一番大切になってくるのは、パネルの取り方です。
その理由としては
根元の暗い薬剤が毛先についてしまう恐れがある
からです。
ブリーチと地毛の境界線を馴染ませるには5Lv以下のカラー剤でないと難しいです。
僕がよく使うのはこんな感じだよ!
3~5Lv白髪染め:A(アッシュ):MT(モノトーン):V(バイオレット)=1:1:1:1ー1.5%等倍
このレベルの薬剤を根元だけに塗布していきます。
無駄にカラー剤が毛先につかないように、細心の注意を払ってオンカラーをしていきましょう。
バレイヤージュのオンカラーのやり方・塗り方、レシピは下記の記事でまとめているのでチェックしてみてください。
バレイヤージュのやり方:よくある質問
- ハイトーンの無彩色系にしたかったけど暗くなりすぎた
-
ブラウンやナチュラルを配合しないと、アッシュが沈んで暗くなってしまいます。
ナチュラルを20~30%入れることによって色の入りすぎや明度のコントロールができます。
50%を超えるとブラウンベースになるのでアッシュにあげたい場合は注意しましょう。
- ピンク系を狙ったけどシャンプーで抜けすぎた
-
ピンクや赤は席での発色は綺麗に出ますが、シャンプー台でかなり流れでます。
アクセントカラーを10~20%程足すことによって対処可能です。
- ディバインディングラインが消えない
-
ディバイディングラインは6レベルだとほぼ消えません。
消せる明るさは5レベルまでで、白髪染めを配合することで褪色後にもディバイディングラインをボカすことができます。
通常のアルカリカラーの4レベルのみでラインを潰そうとしても、あまり綺麗に馴染まないというのが正直な感想です。
- 色の入りが甘い、ムラができた
-
原因は下記のどれかです。
- 過硫酸塩の除去不足
- 塗り残し
- カラーの配合
- 流しすぎ
全ての施術は仕上がりに繋がっているので、一つ一つ丁寧に行いましょう。